○小松島市議会基本条例

平成21年3月27日

条例第15号

(前文)

選挙で選ばれた議員により構成される小松島市議会(以下「議会」という。)は,選挙で選ばれた小松島市長(以下「市長」という。)とともに,小松島市の代表機関を構成する。この2つの代表機関は,ともに市民の信託を受けて活動し,議会は多人数による合議制の機関として,また,市長は単独制の機関として,それぞれの特性をいかして,市民の意思を市政に的確に反映させるために競い合い,協力しながら,小松島市としての最良の意思決定を導く共通の使命が課せられている。

議会が市民の代表機関として,地域における民主主義の発展と市民福祉の増進のために果たすべき役割は,将来にかけてますます大きくなる。特に地方分権の時代を迎えて,自治体の自主的な決定と責任の範囲が拡大した今日,議会は,その持てる権能を十分に駆使して,自治体事務の立案,決定,執行及び評価を,議会が審議する場合における論点及び争点を,広く市民に明らかにする責務を有している。自由闊達な討議をとおして,これら論点及び争点を,発見,公開することは討論の広場である議会の第一の使命である。

このような使命を達成するために本条例を制定する。議会又は議会の議員は,積極的な情報の公開,政策活動への多様な市民参加の推進,議員間の自由な討議の展開,市長等の行政機関との持続的な緊張の保持,議員の自己研鑽と資質の向上,公正性と透明性の確保,議会活動を支える体制の整備等について,この条例に定める議会運営のルールを遵守し,実践する。議会の公正性及び透明性を確保することにより,市民に開かれた議会を目指して,活動を行うあるべき姿をここに定めるものである。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は,分権と自治の時代にふさわしい,市民に身近な政府としての議会及び議員活動に必要な議会運営の基本事項を定めることによって,市政の情報公開と市民参加を基本とした,市民の幸せと豊かなまちづくりの実現に寄与することを目的とする。

第2章 議会及び議員の活動原則

(議会等の活動原則)

第2条 議会は,市民主権を基礎とする市民の代表機関であることを常に自覚し,公正性,透明性及び信頼性を重んじた市民に開かれた議会並びに市民参加を不断に推進する議会を目指して活動する。

2 議会は,議員,市長,市民等の交流と自由な討論の広場であるとの認識に立って,その実現のために,この条例に規定するもののほか,この条例を踏まえて小松島市議会会議規則(昭和42年小松島市議会規則第6号)の内容を継続的に見直すものとする。

3 議長は,議会の会議における市民の傍聴に関し,傍聴の意欲を高める議会運営に努める。

(議会の会期)

第3条 議会は,市政の執行に関する監視及び評価並びに政策立案及び政策提言に関する機能の更なる充実及び強化を図り,議会が主導的かつ機能的に活動できるよう,会期を通年とする。

2 委員会は,精力的に所管事務調査を行うものとする。

(議員の活動原則)

第4条 議員は,議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分に認識し,議員相互間の自由な討議の推進を重んじなければならない。

2 議員は,市政の課題全般について,市民の意見を的確に把握するとともに,自己の能力を高める不断の研鑽によって,市民の選良にふさわしい活動をしなければならない。

3 議員は,特定の地域,団体及び個人の代表ではなく,市民全体の福利の向上を目指して活動する。

(会派)

第5条 議会の会派は,政策を中心とした同一の理念を共有する議員で構成し,活動する。

第3章 市民と議会の関係

(市民参加及び市民との連携)

第6条 議会は,市民に対し積極的にその有する情報を発信し,説明責任を十分果たさなければならない。

2 議会は,本会議及び委員会を公開するものとし,その他の会議については小松島市議会情報公開条例(平成12年小松島市条例第48号)第5条の規定により,市民への積極的な公開に努めるものとする。

3 議会は,地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第100条の2に規定する専門的知見を活用し,並びに常任委員会,議会運営委員会及び特別委員会(以下「委員会」という。)にあっては法第109条及び第115条の2に規定する参考人制度及び公聴会制度を十分に活用して,市民の専門的又は政策的見識等を議会の討議に反映させるよう努めるものとする。

4 議会は,市民との意見交換の場を多様に設け,議員の政策立案能力を強化するとともに,政策提案の拡大を図るものとする。

5 議会は,重要な議案に対する各議員の態度を議会広報で公表する等,議員の活動に対して市民の評価が的確になされるよう情報の提供に努めるものとする。

6 議会は,請願及び陳情を市民による政策提言と位置付けるとともに,その審議においては,必要に応じて,これら提出者の意見を聴く機会を設けるものとする。

(議会報告会)

第7条 議会は,市政の諸課題に柔軟に対処するため,市政全般にわたって,議員及び市民が自由に情報及び意見を交換する議会報告会を行うものとする。

第4章 議会と行政の関係

(議員と市長等執行機関の関係)

第8条 議会審議における議員と市長等執行機関及びその職員(以下「市長等」という。)との関係は,次に掲げるところにより,緊張関係の保持に努めなければならない。

(1) 本会議における議員と市長等の質疑応答は,広く市政上の論点及び争点を明確にするため,一問一答の方式で行うことができる。

(2) 議長から本会議及び委員会への出席を要請された市長等は,議長又は委員長の許可を得て,議員の質問に対して反問することができる。

(政策等の形成過程の説明)

第9条 議会は,市長が提案する重要な政策について,その政策水準を高めることに資するため,市長に対し,次に掲げる事項について明らかにするよう求めるものとする。

(1) 政策の発生源

(2) 提案に至るまでの経緯

(3) 他の自治体の類似する政策との比較検討

(4) 市民参加の実施の有無とその内容

(5) 総合計画との整合性

(6) 財源措置

(7) 将来にわたるコスト計算

2 議会は,前項の政策の提案を審議するに当たっては,それらの政策の水準を高める観点から,立案,執行における論点及び争点を明らかにするとともに,執行後における政策評価に資する審議に努めるものとする。

(予算及び決算における政策説明)

第10条 議会は,予算及び決算の審議に当たっては,前条の規定に準じて,わかりやすい施策別又は事業別の説明を市長に求めるものとする。

2 市長は,施策の立案に当たっては,議会の政策提言の趣旨を尊重するものとする。

3 議会が予算を伴う条例を制定するときは,市長と協議するものとする。

第5章 自由討議の保障

(議会の合意形成)

第11条 議会は,言論の府であることを十分に認識し,議員相互間の自由討議を中心に運営しなければならない。

2 議会は,本会議及び委員会において,議員,委員会及び市長提出議案並びに直接請求による議案,請願及び陳情に関して審議し結論を出す場合,議員相互間の論議を尽くして合意形成に努めるものとする。

(政策討論会)

第12条 議会は,市政に関する重要な政策及び課題に対して,議会としての共通認識の醸成を図り,合意形成を得るため,政策討論会を開催することができる。

第6章 委員会の活動

(委員会の活動)

第13条 委員会審査に当たっては,積極的に情報公開を行い,わかりやすい議論を行うよう努めなければならない。

2 委員長は,委員会の秩序保持に努め,委員長報告を作成するとともに,質疑に対する答弁も責任をもって行わなければならない。

第7章 政務活動費

(政務活動費の執行及び公開)

第14条 議員は,政策立案又は提案を行うため,及び調査研究その他の活動に資するために交付される政務活動費の執行に当たっては,小松島市議会政務活動費の交付に関する条例(平成13年小松島市条例第15号)を遵守しなければならない。

2 議長は,政務活動による活動状況及び支出の状況をとりまとめ,年1回以上議会だより等に掲載し公表するものとする。

3 市民は,小松島市議会政務活動費の交付に関する条例第7条に定める収支報告書及び領収書等の写しを,小松島市議会情報公開条例第8条に定める開示請求手続を経ることなく,小松島市議会政務活動費の交付に関する条例第9条の規定により,議長に対し閲覧を請求できるものとする。

4 議員は,前項による請求者からの請求があった場合には,政務活動による活動状況及び支出の状況について説明するものとする。

第8章 議会及び議会事務局の体制整備

(議員研修の充実強化)

第15条 議会は,議員の政策形成及び立案能力の向上等を図るため,議員研修の充実強化を図る。

2 議会は,議員研修の充実強化に当たり,広く各分野の専門家,市民等との議員研修会を年1回以上開催するものとする。

(政策研究会)

第16条 議会は,市政に関する重要な政策等及び課題に対し,共通認識の醸成を図り,合意形成に資するとともに,条例案の策定や政策立案等を行うため,政策研究会を置くことができる。

2 政策研究会に関することは,別に議長が定める。

(議会事務局の体制整備)

第17条 議長は,議員の政策形成及び立案を補助する組織として,議会事務局の調査・法務機能の充実強化を図るよう努めるものとする。

2 議長は,議会の政策立案等に資する職員を議会事務局の職員として出向させるよう市長に要請するものとする。

3 議長は議会の事務局長その他の職員を任免するときは,市長と協議するものとする。

(議会図書室の充実)

第18条 議長は,議会図書室の充実を図るよう努めるものとする。

2 市長は,この目的を達成するため,必要な財政上の措置,その他の措置を講ずるものとする。

(議会広報の充実)

第19条 議会は,市政に係る重要な情報を,議会独自の視点から常に市民に対して周知するよう努めるものとする。

2 議会は,情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより,多くの市民が議会と市政に関心を持つよう議会広報活動に努めるものとする。

(危機管理)

第20条 議会は,災害等の不測の事態から,市民の生命身体及び財産又は生活の平穏を守るとともに,緊急時において総合的かつ機能的に活動できるよう市長と協力し,危機管理体制の整備に努めなければならない。

2 議会及び議員は災害等の不測の事態が発生したときは,市長と連携し次の各号に掲げる対応を行うものとする。

(1) 議員による協議又は調整を行うための会議等を開催しなければならない。

(2) 状況を調査し,市民の意見及び要望を的確に把握するとともに,必要に応じて市長等に対し,提言を行わなければならない。

(議会モニターの設置)

第21条 議会は,市民の意見を広く聴収し,議会活動に反映させるため議会モニターを設置することができる。

2 前項の議会モニターに関し必要な事項は,議長が別に定める。

(議会アドバイザーの設置)

第22条 議会は,広く英知を結集して活動をするため,議会アドバイザーを設置することができる。

2 前項の議会アドバイザーに関し必要な事項は,議長が別に定める。

第9章 議員の政治倫理,身分及び待遇

(議員の政治倫理)

第23条 議員は,小松島市議会議員政治倫理条例(平成21年小松島市条例第16号)を規範とし,遵守しなければならない。

(議員定数)

第24条 委員会又は議員が,議員定数の条例改正を提案する場合は,行財政改革の視点だけでなく,市政の現状と課題,将来の予測と展望を十分に考慮の上,専門的知見並びに参考人制度及び公聴会制度を十分に活用し,明確な改正理由を付して提案するものとする。

2 議員定数の基準は,人口,面積,財政力及び市の事業課題を考慮するとともに,類似自治体の議員定数と比較検討するものとする。

(議員報酬)

第25条 委員会又は議員が,議員報酬の条例改正を提案する場合は,専門的知見並びに参考人制度及び公聴会制度を十分に活用し,明確な改正理由を付して提案するものとする。

第10章 最高規範性と見直し手続

(最高規範性)

第26条 この条例は,議会における最高規範であって,議会は,この条例の趣旨に反する議会の条例,規則等を制定してはならない。

2 議会は,議員にこの条例の理念を浸透させるため,選挙を経た任期開始後,速やかにこの条例に関する研修を行うものとする。

(見直し手続)

第27条 議会は,一般選挙を経た任期開始後できるだけ速やかに,この条例の目的が達成されているかどうかの検証を議会運営委員会において行うものとする。

2 議会は,前項の検証のほか,市民からの意見,社会経済情勢の変化,法の改正等を常に考慮するものとし,必要に応じてこの条例の改正を含む適切な措置を講じるものとする。

3 議会は,この条例を改正する場合には,本会議において,改正の理由及び背景を詳しく説明しなければならない。

この条例は,公布の日から施行する。

(平成24年条例第51号)

この条例は,地方自治法の一部を改正する法律(平成24年法律第72号)附則第1条ただし書の政令で定める日から施行する。

(平成28年条例第31号)

この条例は,平成28年4月1日から施行する。

(平成29年条例第19号)

この条例は,平成29年4月1日から施行する。

(令和3年条例第28号)

この条例は,公布の日から施行する。

小松島市議会基本条例

平成21年3月27日 条例第15号

(令和3年6月30日施行)

体系情報
第2編
沿革情報
平成21年3月27日 条例第15号
平成24年12月19日 条例第51号
平成28年3月30日 条例第31号
平成29年3月28日 条例第19号
令和3年6月30日 条例第28号