○小松島市火災予防違反処理規程

平成19年11月30日

消本訓令第4号

(趣旨)

第1条 この訓令は,消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)及び小松島市火災予防条例(昭和37年小松島市条例第10号)の規定による火災の予防に係る違反処理に関し必要な事項を定めるものとする。

(用語の定義)

第2条 この訓令において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。

(1) 違反処理 警告,命令,法第8条の2の3第6項の規定による認定の取消し(以下「特例認定の取消し」という。)法第12条の2第1項の規定による許可の取消し(以下「許可の取消し」という。),告発,過料事件の通知,代執行又は略式の代執行によって,違反の是正若しくは予防又は出火の危険,延焼の拡大の危険若しくは火災による人命の危険(以下「火災危険」という。)の排除を図るための行政上の措置をいう。

(2) 警告 違反事項又は火災危険が認められる事項について,防火対象物等の関係者に当該違反の是正又は火災危険の排除を促す意思表示をいう。

(3) 命令 法の規定により,強制的に違反の是正又は火災危険の排除を促す意思表示をいう。

(4) 不利益処分 行政手続法(平成5年法律第88号)第2条第4号及び小松島市行政手続条例(平成9年小松島市条例第2号)第2条第5号に規定する不利益処分をいう。

(5) 聴聞 行政庁が,不利益処分をしようとする場合に,当該不利益処分の名あて人となるべき者に,行政手続法第13条第1項第1号の規定に基づく口頭による意見陳述や質問等の機会を与え,予定される不利益処分についての事実判断を行う手続をいう。

(6) 弁明 行政手続法第13条第1項第2号の規定に基づき,聴聞に該当しない場合,不利益処分を受けることが予定されている者に,原則として書面による意見陳述の機会を与え,処分についての判断を行う手続をいう。

(7) 公示 行政庁が命令を行い違反状態が継続している間,措置命令の内容等を示す標識の設置や広報への掲載等を行うことをいう。

(8) 告発 刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第239条第2項の規定により,違反の事実を捜査機関に申告して違反者の訴追を求める意思表示をいう。

(9) 過料事件の通知 法第8条の2の3第5項の規定による届出を怠った者を,法第46条の5の規定により過料に処せられる者として管轄の地方裁判所に通知することをいう。

(10) 代執行 行政代執行法(昭和23年法律第43号)の定めるところにより,命令による代替的作為義務について履行すべき行為を命令者自らが行い,又は第三者に行わせ,当該行為に係る費用を義務者から徴収することをいう。

(11) 略式の代執行 法第3条第2項又は法第5条の3第2項の規定により,法第3条第1項第3号又は第4号に掲げる措置をとることをいう。

(違反処理の主体)

第3条 違反処理は,消防長又は消防署長が主体となって行うものとする。ただし,法第3条第1項及び法第5条の3第1項の規定による命令を行う場合は,消防吏員がこれを行うことができる。

(違反処理上の基本的留意事項)

第4条 違反処理は,次に掲げる事項に留意して行わなければならない。

(1) 公共の安全を確保するため,火災発生時に想定される被害の程度,違反の内容又は火災危険の重大性に着目し,時機を失することなく厳正かつ公平に行うこと。

(2) 違反処理の業務を行うに当たっては,関係者に対し誠実かつ沈着冷静に対処すること。

(3) 違反処理を行った事案については,適時,追跡確認を行い,その是正の促進に努めること。

(違反処理基準)

第5条 違反処理は,消防長が別に定める違反処理の段階的な移行に関する基準(以下「違反処理基準」という。)に従って行わなければならない。

2 前項の規定にかかわらず,違反の事実が明白で,かつ,火災予防上若しくは人命の安全上猶予できないと認める場合又は特異な違反の事案の処理に係る場合は,違反処理基準によらないことができる。

(違反処理状況の管理)

第6条 消防長又は消防署長は,違反処理に係る当該違反の発生から是正に至るまでの経過等を記録するため,違反処理台帳を整備し,当該違反処理の状況を適性に管理しなければならない。

(違反の事実調査等)

第7条 消防吏員は,職務の執行に際し違反の事実を発見し,又は聞知したときは,速やかにその旨を消防長又は消防署長に報告しなければならない。

2 消防長又は消防署長は,前項の規定による報告を受けたときは,消防吏員に命じて速やかに違反の事実関係についての調査に当たらせなければならない。ただし,立入検査により違反の事実が確定している場合は,当該調査を省略することができる。

3 前項の調査を行った消防吏員は,当該調査の結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。この場合において,当該調査により,違反の事実があることが確認されたときは,前条の違反防火対象物台帳に当該違反に係る防火対象物等に関する違反の内容等を記録しなければならない。

4 消防吏員は,違反に係る調査又は違反処理を行うに際し,関係者等に対し質問を行った場合において,その供述の内容が違反処理上重要であると認められるときは,質問調書を作成し,その供述の内容を記録しなければならない。

5 消防吏員は,第2項の調査を実施した場合において,違反事実の確認を明らかにする必要があるとき,又は違反に係る証拠保全のため必要があるときは,違反の状態,物件の存在等を現認し,実況見分調書を作成するものとする。

6 消防吏員は,前項の調査を実施した場合において,違反状態を客観的に明らかにするため必要があると認めるとき,又は前項に規定する実況見分の信ぴょう性を確保するため必要があると認めるときは,違反の状態,関係者の立会い状況等を写真撮影するものとする。ただし,撮影を拒否されたときは,これを強行してはならない。

7 消防吏員は,第2項の調査(ただし書の立入検査を含む。)を行ったときは,違反調査報告書により,消防長又は消防署長に報告しなければならない。この場合において,必要に応じ質問調書,実況見分調書,撮影した写真その他の関係資料を添付するものとする。

(警告の要件等)

第8条 消防長又は消防署長は,次の各号のいずれかに該当する場合は,命令又は告発を行う前の措置として,当該関係者に対し,警告書を交付することにより警告を行うものとする。

(1) 違反の事案について関係者の具体的な是正の意思が認められない場合

(2) 消防長又は消防署長が違反の内容の実態から火災予防上必要があると認める場合

2 消防長又は消防署長は,違反等の事実が明白で,かつ,火災予防上必要があると認める場合において,前項の警告書を交付するいとまがないときは,消防吏員に口頭で警告事項を告知させることにより警告を行うことができる。

3 消防長又は消防署長は,前項の規定により警告を行った場合は,当該関係者に対し,速やかに第1項の警告書を交付するものとする。

(履行状況の確認等)

第9条 前条の規定により警告を行った場合は,消防長又は消防署長は,必要に応じて当該関係者に違反の是正に関する改善計画書等を提出させるとともに,消防吏員に命じてその履行状況を確認するための調査に当たらせなければならない。

2 前項の調査を行った消防吏員は,当該調査の結果を消防長又は消防署長に報告するとともに,その内容を第6条の違反処理台帳に記録しなければならない。

(上位措置への移行)

第10条 消防長又は消防署長は,前条第2項の違反調査報告書による報告により当該違反が是正されていないと認めたときは,時機を失することなく,違反処理基準に従い必要な措置をとらなければならない。ただし,当該違反の大部分が是正され,かつ,火災危険が排除されたと認められるとき,又は当該違反の是正が部分的であっても,その時点において是正が進行中であり,かつ,その進捗状況が極めて良好であると認められるときは,違反処理基準に規定する次の段階の措置を留保することができる。

(聴聞及び弁明の機会の付与が必要な不利益処分)

第11条 次に掲げる不利益処分をしようとする場合は,当該不利益処分の名あて人となるべき者について,聴聞を行うものとする。ただし,公益上,緊急に不利益処分をする必要があるときは,この限りでない。

(1) 法第8条の2の3第6項に規定する特例認定の取消し

(2) 法第12条の2第1項に規定する許可の取消し

(3) 法第13条の24第1項に規定する危険物保安統括管理者又は危険物保安監督者の解任命令

(4) その他聴聞の開催が相当であると認める違反処理

2 次に掲げる不利益処分をしようとする場合は,当該不利益処分の名あて人となるべき者について,弁明の機会の付与を行うものとする。ただし,第1号から第4号まで,第6号及び第7号に掲げる不利益処分にあっては公益上,緊急に不利益処分をする必要があるとき,第5号に掲げる不利益処分にあっては行政手続法第13条第2項第3号の規定に該当するときは,この限りでない。

(1) 法第3条第1項に規定する火災予防等措置命令

(2) 法第5条第1項に規定する火災予防措置命令

(3) 法第5条の2第1項に規定する防火対象物に対する使用の禁止,停止又は制限命令

(4) 法第5条の3第1項に規定する防火対象物に対する火災予防等措置命令

(5) 法第8条第3項に規定する防火管理者の選任命令。ただし,防火管理者の未選任の事実が客観的に確認されるものは,この限りでない。

(6) 法第8条第4項に規定する防火管理業務に関する必要措置命令。ただし,消防計画の未作成等の事実が客観的に確認される場合は,この限りでない。

(7) 法第12条の2第1項及び第2項に規定する危険物製造所等の使用停止命令

(8) 法第14条の2第3項に規定する予防規程の変更命令

(9) その他弁明の機会を与えることが相当であると認める違反処理

(不利益処分に関する手続)

第12条 前条第1項各号及び第2項各号に掲げる不利益処分に関する手続については,行政手続法及び小松島市行政手続条例に定めるところによる。

(消防長又は消防署長による命令)

第13条 消防長又は消防署長は,違反内容が処理基準の命令の措置をとるべきものに該当した場合には,命令書を交付することにより命令を行うものとする。

2 消防長又は消防署長は,緊急に措置する必要がある場合で命令書を交付するいとまがないときは,口頭で必要な事項について命令することができる。この場合,事後速やかに命令書を交付するものとする。

3 法第3条第1項及び法第5条の3第1項の規定に基づく命令については,立入検査その他の業務の遂行中において,違反処理基準の命令の措置をとるべきものに該当する違反を発見した消防吏員が命令書を交付し命令を行うものとする。

4 消防吏員が緊急に措置する必要があると認める場合で前項の命令書を発行するいとまがないときは,口頭で必要な事項について命令することができる。この場合,事後速やかに命令書を発行するとともに,緊急措置命令報告書により消防長又は消防署長に報告するものとする。

(催告)

第14条 消防長又は消防署長は,第13条の規定により命令を行った場合は,第10条の規定に準じて,随時,命令事項の履行状況を確認し,履行期限を経過してもなお違反が是正されていないときは,必要に応じて当該命令を受けた者(以下「受命者」という。)に対し,催告書を交付して,当該命令事項の履行の促進を図るものとする。

(命令の解除)

第15条 消防長又は消防署長は,命令事項の全部又は一部が履行されたことにより,受命者から当該命令の解除の申出があった場合又はその事実を知った場合は,その履行状況を確認し,当該命令を解除することが適当であると認めるときは,速やかに当該命令を解除するものとする。

2 前項の規定による命令の解除は,受命者に対し,命令解除通知書を交付することにより行うものとする。

(公示)

第16条 消防長又は消防署長は,法第5条第1項,法第5条の2第1項,法第5条の3第1項,法第8条第3項及び第4項,法第8条の2第5項及び第6項,法第8条の2の5第3項,法第11条の5第1項及び第2項,法第12条第2項,法第12条の2第1項及び第2項,法第12条の3第1項,法第13条の24第1項,法第14条の2第3項,法第16条の3第3項及び第4項,法第16条の6第1項並びに法第17条の4第1項及び第2項の規定による命令を行った場合は,当該命令に係る防火対象物,当該防火対象物のある場所及び危険物製造所等へ標識の設置その他別に定める方法により公示を行うものとする。

2 前項の公示は,命令を行った場合には速やかに行い,当該命令の履行又は解除がなされるまでの間,その状態を維持するものとする。

(特例認定取消書等の交付)

第17条 消防長又は消防署長は,特例認定の取消し,許可の取消し又は危険物保安統括管理者等の解任命令の決定をしたときは,当該関係者に対し,次の各号に掲げる区分に応じ,当該各号に定める書類を交付するものとする。

(1) 特例認定の取消し 特例認定取消書

(2) 許可の取消し 許可取消書

(3) 危険物保安統括管理者等の解任命令 解任命令書

(特例認定の取消し等の留保事案の取扱い)

第18条 消防長又は消防署長は,特例認定の取消し,許可の取消し又は危険物保安統括管理者等の解任命令の留保の決定をしたときは,処分を留保した趣旨を勘案して,必要な違反の是正又は公共の安全の確保に努めるものとする。

(告発調査等)

第19条 消防長又は消防署長は,次の各号のいずれかに該当する事案を覚知したときは,速やかに当該違反に係る調査を行い,調査の結果,罰則をもって対応すべきであると認める場合は,告発を行うものとする。

(1) 違反の内容が重大な事案

(2) 違反に起因して火災等が発生し,若しくは拡大し,又は死傷者が発生した事案

(3) その他告発をもって措置すべき情状が認められる事案

(告発の事前協議)

第20条 消防長又は消防署長は,告発を行う場合は,あらかじめ告発協議書により内部協議しなければならない。

(告発の手続)

第21条 告発は,違反の生じた場所を管轄する警察署長又は検察官に対し,告発書により行うものとする。

2 前項の告発書には,次に掲げる書類のうち,必要な書類を添付するものとする。

(1) 立入検査の結果に関する書類の写し

(2) 警告書又は命令書の写し

(3) 図面又は写真

(4) その他違反の事実及び情状の認定に必要な資料

(過料事件の通知)

第22条 消防長又は消防署長は,法第8条の2の3第5項の規定による届出を怠った事案を確知したときは,速やかに当該違反に係る調査を行い,調査の結果,過料をもって対応すべきであると認める場合は,法第8条の2の3第5項の規定による届出を怠った者の住所地を管轄する地方裁判所に対し,過料事件通知書により過料事件の通知を行うものとする。

2 前項の過料事件通知書には,次に掲げる書類を添付するものとする。

(1) 法第8条の2の3第1項の規定による認定を受けた防火対象物の管理について権原を有する者(以下「管理権原者」という。)であったことを証する書類の写し

(2) 管理権原者に変更があったことを証する書類の写し

(3) 過料に処せられるべき者の住所地等を証する資料

(代執行)

第23条 消防長又は消防署長は,第13条の規定により命じた行為を当該関係者が履行しない場合で,告発その他の方法によっては,その履行を確保できないと認めるときは,行政代執行法の定めるところにより代執行を行うものとする。

2 代執行を行う場合は,事前に執行に伴う作業,警戒,経費等の計画を立てなければならない。

3 代執行に係る戒告,通知及び費用の徴収のための文書並びに執行責任者の証票は,次に掲げるとおりとする。

(1) 戒告書

(2) 代執行令書

(3) 代執行費用納付命令書

(4) 代執行執行責任者証

(略式の代執行)

第24条 消防長又は消防署長は,法第3条第1項又は法第5条の3第1項の規定による命令に係る履行義務者を確知することができないために当該命令を行うことができない場合は,必要に応じて略式の代執行を行うものとする。

2 消防署長は,略式の代執行を行う場合は,あらかじめ消防長に協議しなければならない。

3 略式の代執行は,法第5条の3第2項の規定によるものにあっては,消防長が別に定める方法により公告を行った後に行うものとする。ただし,緊急の必要があるときは,この限りでない。

4 消防長又は消防署長は,略式の代執行により物件を除去した場合は,災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第64条第3項から第6項までの規定を準用し,当該物件の状態,所在場所の状況等を勘案して,当該物件を適切に保管するものとする。

5 消防長又は消防署長は,略式の代執行による物件の保管等に要した費用があるときは,保管費等納付命令書により,当該物件の所有者等から当該費用を徴収するものとする。

(免状返納命令の要請)

第25条 消防署長又は消防課長は,危険物取扱者又は消防設備士が次の各号のいずれかに該当したことを確知した場合は,消防長に報告しなければならない。

(1) 危険物取扱者にあっては,法令違反をし,過去において警告を受けたことがある場合又は事故を起こした場合

(2) 消防設備士にあっては,法令違反をし,過去において警告を受けたことがある場合

(3) 前2号に掲げるもののほか,重大な法令違反があった場合

2 消防長は,前項の規定による報告があった場合において,必要があると認めるときは,知事に対して,免状返納命令の要請を行うものとする。

3 前項の免状返納命令の要請は,免状返納命令要請書により,関係書類を添付して行う。

4 消防長は,第2項の規定により知事に要請した場合及び知事から当該要請の結果について通知があった場合は,その旨を消防署長に通知するものとする。

(警告書等の送達)

第26条 この訓令に定める警告書,命令書,催告書,特例認定取消書,許可取消書,解任命令書,戒告書,代執行令書,代執行費用納付命令書及び保管費等納付命令書(以下「警告書等」という。)を交付する場合は,当該関係者に直接交付し,受領書に署名押印を求めるものとする。ただし,警告書等の受領を拒否された場合その他やむを得ない理由により直接交付することができない場合は,配達証明郵便又は内容証明郵便の取扱いにより郵送するものとする。

(関係行政機関との連携)

第27条 消防長又は消防署長は,立入検査において指摘した他の法令の防火に関する規定の違反については,所管行政庁に通知し,当該違反の是正の促進を要請するとともに,十分な連携を図り,その改善指導に努めるものとする。

2 消防長又は消防署長は,他の法令違反が存する防火対象物について違反の是正の措置等を講ずる場合においては,関係行政機関と十分な情報提供及び連絡調整を行うとともに,必要に応じて法第35条の13の規定による照会を行い,又は協力を求めるものとする。

3 消防長又は消防署長は,違反処理につき関係行政機関から協力を求められたときは,必要に応じて協力するものとする。

(書類の様式)

第28条 この訓令に規定する書類その他の様式については,別に定めるものとする。

(雑則)

第29条 この訓令に定めるもののほか,違反処理に関し必要な事項は,消防長が別に定める。

この訓令は,平成19年12月1日から施行する。

(令和3年消本訓令第1号)

この訓令は,公布の日から施行する。

(令和4年消本訓令第4号)

この訓令は,令和4年9月1日から施行する。

小松島市火災予防違反処理規程

平成19年11月30日 消防本部訓令第4号

(令和4年9月1日施行)

体系情報
第12編 防/第3章 火災予防
沿革情報
平成19年11月30日 消防本部訓令第4号
令和3年6月10日 消防本部訓令第1号
令和4年8月30日 消防本部訓令第4号